もったいなさすぎる。でも、解体するしかない崩れかけた土蔵。

もったいない。
でも、この状態ではやるしかありません。

母屋の隣で、崩れかけてもがんばって耐えてきた土蔵。
いよいよ解体することにしました。

長年かけて崩れてきた味噌蔵

いつからこのようになっていったのかは分からないけれど、私がこの古民家に関わり始めて意識したときには既にこの状態でした。

おそらく、一気に崩れたわけではなく、土壁が雨風で徐々に腐敗していき、長年かけてじわじわと崩れていったのではないだろうか。という話。

ちょっと危ないよねー。後々は解体しないとね。

とは言ってはいたものの、優先順位は低く、今まさにつぶれそう、というものでもなかったので、後回しになっていました。

その間に、より危険な状況の土蔵の補修をし、ひと夏が終了。

ようやく落ち着いたと一息ついていたところに、いつもお世話になっている建築会社さんから、この崩れかけた土蔵が、直したばかりの土蔵にも悪い影響を与えていると。

やはり、次のターゲットはここか。

今では作れないものだからこそ、できるだけ残したい

さて、この土蔵をどうするか。

こんな状態だから、基本的には解体しか選択肢はなさそう。

ただ、崩れかかっているといっても、扉といい、梁といい、とっても立派。

ただ、潰してしまうのは何とももったいない。

例えば、この観音開きの扉。

戸前というらしいのですが、造りも立派だし、今どき、こんな扉は作れないだろう代物。

ここだけ外して再利用できないかなーなんても思うけれど、この扉、おそらくざっと見積もっても重さが400kgくらいあるんじゃないか、というもの。だからこそ、火事からも中を守れるよう耐火機能があるのだろうけど、さすがにこの重さでは、力のある大人が8人くらいでようやく持てるんじゃないかというレベル。

いくらもったいないからといって、安易に手を出すと、大変なことになりそう。

きっと、こういう古くて今では作ることができないけれど、結局解体するしかない、という状況が、日本全国で日々起こっているんだろうな。

だって、残す方がお金と労力がかかるのだもの。

土蔵が生まれ変わることに期待して解体を決断

もったいないという気持ちもありつつ、解体しか選択肢はない。

ただ、やっぱり解体をするだけでもかなりの費用がかかってしまうということで、なかなか踏み切れないでおりました。

そんな中、何ともベストなタイミングでの巡り合わせ。

この土蔵が並ぶエリア、来年以降から借りたいと言ってくださる方が現れてくれました。

詳しくお話をお伺いすると、いろいろなことがマッチング。

この古民家を維持するためにも、とってもよいお話でした。

そうなったら、この土蔵の将来の門出として、解体の決断です。

ちなみに、ここが何に生まれ変わるかは、時が来たらお知らせしますね。それまではわくわくしながら楽しみにしていてください。

解体前にやらなければならない、スペース確保のための大量のゴミ捨て

さーて、こうなったら大変だ。

土蔵解体の何が大変かって、物の整理です。

解体するからって、さあ一気にどうぞ。というわけには当然いかない。

しかも、残せるものはできるだけ残したい、もったいない症の私なので、中にある使える道具類は救出したいわけで。

ところが、たとえ救出できたとしても、今度はそれらを置いておく場所が必要。ということは、そのために、他の土蔵を空けなければならない。ということは、そこの土蔵にあるものはどうするか?

とまあ、謎解きゲームのような行動設計が必要で。

行き着いた先は、まずいらないもの、ゴミを処分する、というところでした。

とにかくゴミゴミゴミ。

この夏の間、営業が優先になってしまっていたので、あらゆる場面で出てきたゴミを、空いたスペースに押し込んでいたのです。

そのゴミ、いよいよ片付けなければならない時期にきました。

そして、このゴミ捨てが、いつも思うけど、古民家の負の部分でもあり。

ゴミを運ぶ作業も嫌だけど、何よりもゴミを出してしまっているという罪悪感がたまらなく辛い。人間、きれいな美しいところしか見たくないからね。

それでも、ここをがんばらないと未来はない。そう言い聞かせて、ひたすら作業しました。

割れたガラスや壊れた機械、鉄くずやトタンなど。

中には、新品の便座まであったからね。

どこをどうして、新品の便座が出てくるのかが謎。

それでも、1日ひたすら片付けて、クリーンセンターやゴミ焼却所、廃棄物処理会社などに何度かに分けて運び、ようやくある程度スペースを確保することができました。

味噌蔵に入っていた道具類を救出

さて、置くスペースができたらようやく道具類の取り出し。

しかし、すでに崩れかけた土蔵。

中に入って物を動かすのも怖い怖い。

立派な梁も、かなり斜めに。

奥の方にも既に浮いた状態の梁が。

そんな中、恐る恐る覗くと、この味噌蔵、けっこうな道具をもっておりましたよ。

味噌蔵だけあって、樽やらカメやらお酒やら。

古いもの好きの大好物がたっぷり。

カメの中には、まだ何か漬物らしき物体が入ったものまで。果たして何年ものか。まさか、100年以上経っていたりして。これまた恐怖だ。

さすがに、その辺は救出できなそうだけれど、何とかそれなりに取り出すことができました。

あとは、解体に向けて打ち合わせ。

解体を含めて、土蔵の解体や整理はもう少し続きます。

この場所がどう変わっていくか、またその様子などは書きたいと思います。

なお、今回救出した道具類、後々吟味して蚤の市でもやろうかなーなんて少し考えています。

古道具にご興味ある方は、ぜひこのブログとSNSをチェックしていてくださいね。

Ayana

Ayana

箕澤屋プロジェクト代表兼管理人。2014年にこの家の存在を知り、魅力的なこの家を残すために活動しています。夏だけかき氷カフェ店主。フルーツ農園の娘。同じく管理人Kobadaiと2人でゆるーい雑談Podcastもやってます。
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