囲炉裏を囲んで営業終了。温かい人たちに支えられ、今後のことを考える。

10月30日の月曜日、何とか箕澤屋、今季最後のイベントが終了。来てくださった皆さん、関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました!2017年5月〜10月、本当にめまぐるしいと言える約半年でした。

そんな中、土曜日のカフェ営業で突然始まった囲炉裏への火入れ。お客さんが少ないながらも、温かく楽しむことができた話と、それを踏まえて今後のことを考えたので、少し書いてみます。

最終日なので、サービス盛りだくさんにしてみたけれど

10月28日の土曜日、カフェ最終日。

せっかくなので、賑やかに終わらせたい。

ということで、この日はスペシャルなことをいくつも用意してました。

1)出店者さんがいつもより多く5店舗も登場
2)りんご食べ比べ
3)豚汁サービス

きっと、最終日だし少しはいらっしゃる方が多いかな、とみていたのですが、あいにくの台風接近による雨。

しかも、けっこうな降り方で、後半にかけて強くなっていくという。

そのせいなのか(そう思いたい)、いろいろなサービスを用意していたにも関わらず、いらっしゃる方は多くなく、後半に向けて減る一方。

こういうとき、運営としては、本当にヒヤヒヤものです。

せっかく多くのお客さんを見込んで出店者さんに集まってもらったのに、まったく売れないとなると、商売としてやっている出店者さんにとっては死活問題でもあります。

しかも、古民家はいくらストーブを炊いてもちっとも暖まらない。まさに、心も体も寒い状態。

人を集められない状況に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

どこからか出てきた囲炉裏を使ってみよう、という声

そんなときに、誰かがこういうときこそ囲炉裏をつかったら暖かくていいよねぇと。

「確かに!(ざわざわ)」

しかも、そこには20年来この古民家を事務所として使い続けてくれて、囲炉裏の使い方にも詳しい設計士の方のルナパークスタジオさんもいました。(ステンドグラス作家の旦那さまです)

実は、この囲炉裏、煙を外に出す天井の穴を塞いでしまっているため、火をつかうことはできないのですが、煙の少ない炭だったら大丈夫とのこと。

これは、囲炉裏を使ってみる絶好のチャンス。

雨も強くなり、お客さんがいらっしゃる気配もなくなってしまった箕澤屋。

これは、もう最後に集まってくださった方々への感謝イベントにするしかない。

ありがたいことに、出店者の皆さんもこの突然始まった囲炉裏火付け式にノッてくれて、すぐさま囲炉裏の周りに全員集合。

ルナパークスタジオさんの説明の元、火を起こし、実際にその様子をじっくり見ることに。

何ともまたおもしろいことに、自在鉤の使い方を見たときなんかは、けっこうないい大人がみんな

「へー!」「すごい、こんな風に動くんだ!」

と興味津々。

囲炉裏に火をつけるだけでこれだけ盛り上がるなんて。

これこそ、築150年というこの家がもつ価値なのかもしれないですね。

せっかく火がついたのだから、鍋でもやってみよう。

火がついたら、やっぱり何かやりたくなるのが人の心情。

しかも、そこには売るほどの食材が。

鍋にお湯が入ると、出店者さんのご好意により、自然と鍋にいろいろな具材が投入されていき、周りには焼きパンまで。贅沢な囲炉裏鍋が登場です。

囲炉裏を囲むことで生まれる空間の力はあると思う

突然始まった囲炉裏の火入れからの、鍋料理。

これがまたキノコの出汁と野菜の旨みがギュッとつまって絶品。次々と箸が伸びていきます。

しかも、囲炉裏に火をつけたことで、大広間もグッと暖まり、皆さんもう囲炉裏の周りから離れられない。少しの間、商売を忘れて、囲炉裏鍋をつつき、いつの間にかくつろいだ時間となっていました。

今まで、当たり前のように囲炉裏がありますよー。と飾り立てた言葉で説明していたけれど、今回、初めて囲炉裏体験をしてみて思いました。

囲炉裏のこと、全く分かっていなかったなーと。

囲炉裏は、昔の家にとって、非常に重要な機能。寒さが厳しい冬に暖をとれて、しかも料理ができる。さらに、家を乾燥させ防虫効果も生み、火を灯すことで人が集まり、コミュニケーションを生み出す。

効率性を考えた現代の家から見ると無駄も多く、不便なこともいっぱい。

火をつけるのは時間がかかるし、煙いし、薪も用意しなきゃいけない。

だけど、囲炉裏があることで生まれることもある。

現に、今回はこの囲炉裏の存在が、この場所を温かく盛り上げてくれました。

今どき囲炉裏のある家なんて少ないからこそ、多くの方が初めての体験。
存在自体も珍しいからこそ、皆さん楽しんでいただけたのかなと。

日本人が見てもこんなに興味深いのだから、世界から見たら、この文化はすごくおもしろいだろうなー。

言葉だけだとなかなか説明できないけど、やっぱりただ飾っているだけじゃなくて、この囲炉裏は体験することに意義があると思えました。

せっかく長い年月を経てここに残っている囲炉裏、将来的には囲炉裏体験ができる場所にできたら、とっても魅力的だろうなー。

温かい場所でありながら、必要とされる場所をつくりたい

今回は、囲炉裏の存在と出店者さんたちに本当に救われました。

運営としては、天気を理由に集客ができないと言ってしまうのは、言い訳になってしまいますよね。

雨でも台風でも、絶対行きたい理由があれば、人は足を運びます。

そういう意味で、箕澤屋はまだまだ、サービスとして満足できるもの、必要だと思えるもの、絶対行きたいという理由をつくれていません。

とにかく、この建物は魅力的。しかし、まだただの古民家でしかないです。

そんなただの古民家に、今年、人が集まってくれてここまでやってこれたのは、この家を大切にしたい、残したいと思ってくれている人たちのおかげ。

ただ、その想いだけでは長く続けるのは正直難しいのかなと思っています。

というのも、古民家を維持するのは想像以上にお金がかかります。その辺の話はまた追って書こうかと思いますが、お金が余って仕方がないという状況でもない限り、いつまでもその想いだけで続けていくのは、限界があります。

家主兼管理人の私としては、この家を残すためにも、稼げるといったら言い方は悪いけど、事業として成立するようなサービスを提供して、その上で維持していくことができる仕組みをつくっていきたい、というのが考えです。

ただ、そこで忘れたくないことがあります。
それは、例えうまい仕組みができあがったとしても、その出来上がったサービスをただ提供するだけではなく、この家と集まった人のもつ温かさというか、優しい空気感、これは残していきたいなと思っています。

まだまだ時間はかかるかもしれないけれど、将来的には、どうしても箕澤屋に来ちゃうんだよね。と言われるような場所にしていけたらいいなーなんて、勝手に思い描いてます。

と、何だか今回小難しく書いてしまいましたが、これにて一旦今季終了!
これからしばらくの間、お会いする機会があまりないのですが、このブログでは今年書きたかったけど書けなかったこと、冬の間にしてること、番外編など、ちょこちょこと更新していこうかなと思っています。

そんなわけで、たまには覗いて見てくださいな。

Ayana

Ayana

箕澤屋プロジェクト代表兼管理人。2014年にこの家の存在を知り、魅力的なこの家を残すために活動しています。夏だけかき氷カフェ店主。フルーツ農園の娘。同じく管理人Kobadaiと2人でゆるーい雑談Podcastもやってます。
  • Instagram
  • Twitter